座屈/胴曲り/横曲り/倒れ/横ずれ
バネ(スプリング)及びバネに関連する用語を規定しているばね用語(バネ用語)において、”e)ばね設計”に分類されている用語のうち、『座屈』、『胴曲り』、『横曲り』、『倒れ』、『横ずれ』のJIS規格における定義その他について。
コイルばね、板バネ、皿バネ等の種類・名称・形状・用途、バネ定数やばね荷重の計算・設計、ばね鋼等バネ材料、ばね加工・製造、試験・検査などに関連する用語として、ばね用語(JIS B 0103)において、”e)ばね設計”に分類されているバネ用語には、以下の、『座屈』、『胴曲り』、『横曲り』、『倒れ』、『横ずれ』などの用語が定義されています。
ばね用語(JIS B 0103)
⇒【e)ばね設計】
分類: ばね用語 > e)ばね設計
番号: 5311
用語: 座屈
定義:
コイルばねに加わる圧縮荷重又はねじりモーメント(※1)が ある大きさに達すると、コイルの軸線が急に波形、らせん形などに曲がる現象(付図102)。
備考:
座屈荷重は、座(※2)の拘束状態、コイルばねの縦横比(※3)などによって大きく変化する。
付図102 座屈(5311)
対応英語(参考):
buckling
慣用句(参考):
−
分類: ばね用語 > e)ばね設計
番号: 5312
用語: 胴曲り
定義:
コイルばねの軸線が、無荷重時に曲がっている状態又は荷重の増加とともに曲がる現象。
備考:
製造時の初期変形、座の相対的な位置関係、偏心荷重(※4)、座の傾きなどが原因で発生する。
対応英語(参考):
bowing
慣用句(参考):
−
分類: ばね用語 > e)ばね設計
番号: 5313
用語: 横曲り
定義:
平鋼(※5)又はそれを使用した重ね板ばねのバネ板が長手方向に対して、左右にわん曲する現象。
対応英語(参考):
bowing,
bowing of leaf spring
慣用句(参考):
−
分類: ばね用語 > e)ばね設計
番号: 5314
用語: 倒れ
定義:
圧縮コイルばねの座面とコイル軸線とが直角でない現象。
備考:
倒れは、ばねを定盤上に立てたときの外側面最上端の横ずれ量又は傾斜角度で表す。
対応英語(参考):
perpendicularity
慣用句(参考):
コイル外側面の傾き
分類: ばね用語 > e)ばね設計
番号: 5315
用語: 横ずれ
定義:
荷重入力が大きくなった場合、車両への取付部でスタビライザ(※6)の軸方向に生じるずれ。
対応英語(参考):
slide
慣用句(参考):
−
(※1)
ねじりモーメントとは、ねじりコイルばね(ねじりモーメントを受けるコイルばね)、トーションバー(ねじりを利用する棒状のバネ)などに外力が加えられたときに、軸周りに発生するモーメントのことです。
(※2)
座とは、バネを据えさせる部位、相手部品などの総称のことです。
(※3)
縦横比とは、コイルばねの自由高さ(無荷重時のコイルばねの高さ。引張コイルばねの場合は自由長さという)とコイル平均径(コイルばねの計算式に用いる、コイル内径と外径との平均値)との比のことです。
(※4)
偏心荷重とは、コイルばね(線状の素材をらせん形状に成形したバネの総称)に作用する荷重の作用線がコイル軸からずれている荷重のことです。
(※5)
平鋼に関連するJIS規格には、以下などがあります。
JIS G 0901
建築用鋼板及び平鋼の超音波探傷試験による等級分類と判定基準
JIS G 3194
熱間圧延平鋼の形状,寸法,質量及びその許容差
JIS G 3199
鋼板及び平鋼の厚さ方向特性
(※6)
スタビライザとは、車体に遠心力が作用した場合の車体の横揺れを少なくするために取り付けられているバネの総称です。
丸棒を略”U”の字の形状に成形したものが一般的で、中実のもの(中実スタビライザ)及び中空のもの(中空スタビライザ)があります(以下の参考図 付図51 及び 付図52 参照)。
付図51 スタビライザ(2800)、バースタビライザ(3510)、スタビライザ目玉部(4430)
付図52 スタビライザ(2800)、バースタビライザ(3510)
また、スタビライザについては、以下のJIS規格にも規定されています。
JIS D 0111
自動車懸架装置用語
この規格では、自動車の懸架装置に関する用語について規定されています。